
主人公は、新しい魔法書を開きました。
そこには大きく、
「メラ」
と書かれています。
主人公は少し嬉しそうに笑いました。
「やっと攻撃魔法ですね。」
虎のマスターも笑顔でうなずきます。
「そうだ。」
「でも、このメラは敵を倒すための魔法じゃない。」
主人公は首をかしげます。
「じゃあ、何を燃やすんですか?」
虎のマスターは、
主人公の手のひらに灯った小さな炎を見つめながら言いました。
「君の『やってみよう』という気持ちだ。」
メラは、最初の5分を動かす魔法。
私たちは、
やろうと思っていることほど、
後回しにしてしまいます。
本を読もう。
部屋を片付けよう。
ブログを書こう。
運動しよう。
でも、
「時間がない。」
「今日は疲れた。」
そんな理由で、
いつの間にか明日へ延期してしまいます。
虎のマスターは笑いました。
「だから勇者は、5分だけメラを唱える。」
小さな炎は、行動を始めるきっかけになる。

主人公は尋ねました。
「5分だけで、本当に変われるんですか?」
虎のマスターは静かにうなずきます。
「大きな炎も、最初は小さな火種から始まる。」
5分だけ本を読む。
5分だけ机に向かう。
5分だけ歩く。
5分だけ書いてみる。
不思議なことに、
5分だけと思って始めたことが、
気づけば30分続いていた。
そんな経験はありませんか?
勇者は知っています。
最初の5分が、
一番大きな壁だということを。
メラは、未来を変える小さな火種。
大きな目標を前にすると、
人は動けなくなります。
でも、
5分だけならできそう。
そう思えた瞬間、
心の中に小さな炎が灯ります。
その炎は、
今日を変え、
やがて未来を変えていきます。
だから勇者は、
完璧を目指すより、
まずメラを唱えます。
勇者は今日も、メラを唱える。

主人公は魔法書を閉じました。
机の上には、
ずっと後回しにしていた冒険の書があります。
「全部やろう。」
そう思うと、
体は動きませんでした。
虎のマスターは静かに言います。
「全部じゃない。」
「メラだ。」
主人公はうなずきました。
冒険の書を開きます。
5分だけ。
そう決めて書き始めました。
5分後。
主人公の手は、
まだ止まっていませんでした。
虎のマスターは微笑みます。
「それが、メラだ。」
勇者は今日も、メラという魔法を唱え、小さな炎を未来へつないでいきます。