
主人公は新しい魔法書を開きました。
そこには大きく、
「ルーラ」
と書かれています。
主人公は嬉しそうに言いました。
「ルーラって、移動する魔法ですよね。」
虎のマスターは静かにうなずきます。
「そうだ。」
「でも、勇者養成講座で学ぶルーラは、少しだけ意味が違う。」
主人公は不思議そうに尋ねました。
「どう違うんですか?」
虎のマスターは微笑みます。
「本当に移動するのは、場所じゃない。」
「君の世界なんだ。」
ルーラは、世界を広げる魔法。
私たちは毎日のように、
同じ道を歩き、
同じ駅を使い、
同じ景色を見ています。
もちろん、それも安心できる大切な日常です。
でも、
心のどこかで、
「いつか行ってみたい。」
そう思っている場所はありませんか。
気になっていたカフェ。
ずっと訪れてみたかった神社。
景色がきれいだと聞いた町。
本当は入ってみたかったお店。
ルーラは、
そんな場所へ一歩踏み出す魔法です。
新しい景色は、新しい自分に出会わせてくれる。

主人公は尋ねました。
「新しい場所へ行くと、何が変わるんですか?」
虎のマスターは答えます。
「景色が変わる。」
「出会う人が変わる。」
「そして、君自身も少しずつ変わっていく。」
旅とは、
遠くへ行くことではありません。
昨日まで行かなかった場所へ、
今日、一歩踏み出すこと。
その小さな一歩が、
人生に新しい風を運んできてくれます。
世界は、思っているより広い。
私たちは、
「また今度でいいかな。」
そう思って、
たくさんの機会を後回しにしています。
でも、
勇者は知っています。
一歩踏み出した先には、
今まで知らなかった景色が待っていることを。
そして、
その景色が、
新しい自分を育ててくれることを。
ルーラは、人生を少しだけ豊かにしてくれる魔法。

主人公は魔法書を閉じました。
「ルーラって、遠くへ行くための魔法じゃなかったんですね。」
虎のマスターは笑顔で答えます。
「そうだ。」
「昨日まで行かなかった場所へ、一歩踏み出すこと。」
「それがルーラだ。」
翌朝。
主人公は、
ずっと気になっていた小さなカフェへ向かいました。
家から電車で一時間半。
「また今度でいいかな。」
そう思い続けていた場所です。
でも、その日出会った景色と人との時間は、
主人公に新しい風を運んでくれました。
勇者は今日も、ルーラという魔法を胸に、新しい世界へ一歩踏み出します。